Web3とブロックチェーンが変える金融の未来~RWA・ステーブルコイン・暗号資産の現状と将来性

XRPとイーサリアムのコインはじめに

Web3やブロックチェーンは、一時の投機ブームではなく、金融の仕組みそのものに組み込まれ始めています。国内では、不動産などを裏付けとするセキュリティ・トークンの公募発行額が累計3,000億円を超え、2025年10月には円建てステーブルコインの発行も始まりました。

制度面でも、2026年7月に暗号資産を金融商品取引法の対象とする改正法が成立し、税制でも暗号資産の申告分離課税(税率20%)の導入が決まっています。

この記事では、RWA(現実資産)のトークン化やステーブルコインなど、すでに始まっている動きを整理したうえで、金融業界の今後と暗号資産の将来性、税務上の取扱いについて解説します。

【注意】本記事は制度や市場の動向を整理したもので、特定の暗号資産やトークンへの投資を勧めるものではありません。暗号資産は価格変動が大きく、元本を大きく割り込むおそれがあります。

1. Web3・ブロックチェーンとは

ブロックチェーンは、取引の記録を多数の参加者で共有し、改ざんを困難にする分散型の台帳技術です。Web3は、この技術を基盤に、価値や権利をデジタルの「トークン」として直接やり取りできるインターネットの形を指します。

金融で重要なのは、次の3つの特徴です。

  • トークン化:株式・債券・不動産の持分・通貨などを、ブロックチェーン上のトークンとして発行・移転できます。
  • スマートコントラクト:配当の支払いや譲渡制限などのルールをプログラムで自動実行できます。
  • 決済の効率化:資産と資金の同時受渡し(DvP)の仕組みを整えることで、決済時間の短縮や、片方だけが履行されないリスクの低減が期待されます。
項目 従来の金融 ブロックチェーン活用後
記録の管理 金融機関ごとの台帳 参加者が共有する分散台帳
決済の時間 国内振込は24時間化が進む一方、国際送金や証券決済は時差や複数の仲介機関により時間を要する場合がある 仕組みを整えれば、国境を越える取引でも短時間で完了し得る
資産の最小単位 一部の不動産・私募商品は大口投資になりやすい 小口化して少額から投資可能
権利の移転 書類や複数の仲介者を経由 トークンの移転で記録

なお、「暗号資産」「ステーブルコイン」「セキュリティ・トークン」は、いずれもブロックチェーン上のトークンですが、法律上の位置付けと税金の取扱いは大きく異なります。

区分 内容 主な根拠法令
暗号資産 ビットコインなど、不特定の者との間で売買できる財産的価値 資金決済法2条14項(今後、金融商品取引法に移管)
ステーブルコイン(電子決済手段) 法定通貨と価値が連動し、額面で償還されるデジタルマネー 資金決済法2条5項
セキュリティ・トークン 株式・社債・信託受益権などをトークン化したもの 金融商品取引法2条、同法29条の2第1項第8号(電子記録移転有価証券表示権利等)

2. RWA(現実資産)のトークン化の現状

RWA(Real World Assets)は、不動産・国債・社債・ファンドなどの現実資産を指します。近年、これらに関する権利をブロックチェーン上でトークン化する取組みが広がっています。不動産や債券を裏付けとする商品では、賃料や利息などが収益の源になります。ただし、裏付け資産があっても元本や換金性が保証されるわけではありません。

(1) セキュリティ・トークンとは

セキュリティ・トークンとは、株式・社債・不動産ファンドの持分などの「有価証券(セキュリティ)」を、ブロックチェーン上のデジタルな証券(トークン)として発行したものです。ブロックチェーンなどの技術を利用して、「誰がどの権利をどれだけ持っているか」や、その移転を記録・管理します。

国内で多く発行されている不動産のセキュリティ・トークンについて、信託を利用する代表的な仕組みを簡略化すると、次のようになります。

  1. 不動産や、その不動産に係る信託受益権を、信託銀行などに信託します。
  2. その信託の受益権を小口化し、トークンとして発行・管理します。
  3. 投資家は証券会社の口座を通じて購入し、保有する口数に応じて分配金を受け取ります。
  4. 途中で換金したいときは、証券会社や二次流通市場を通じて売却します(希望する時期・価格で売れるとは限りません)。

同じブロックチェーン上のトークンでも、暗号資産とは性格が大きく異なります。

項目 セキュリティ・トークン 暗号資産
法律上の位置付け 有価証券(金融商品取引法) 暗号資産(資金決済法。今後、金融商品取引法に移管)
価値の源 権利の内容に応じた企業価値・発行体の信用力・不動産等の資産価値や収益など 主に市場での需給(銘柄により異なる)
主な購入先 証券会社 暗号資産交換業者
税金の取扱い 裏付けとなる権利(社債、信託受益権等)の種類に応じて課税 原則として雑所得(今後、一定の取引は申告分離課税)

(2) 日本:不動産を中心にセキュリティ・トークンが拡大

日本のRWAは、金融商品取引法に基づくセキュリティ・トークンとして、証券会社を通じて個人投資家にも販売されています。2025年度の公募発行額の約86%が不動産で、数十万円程度から賃貸マンションやホテルに投資できる商品が中心です。

項目(2025年度) 実績
公募セキュリティ・トークン発行額(単年度) 1,650億円(24本)
公募セキュリティ・トークン発行額(累計) 3,333億円(82本、前年度末の約2倍)
うち不動産(単年度) 1,422億円(約86%)
二次流通市場「START」の時価総額 336億円(2026年3月末、8銘柄)
2026年度の見通し(BOOSTRYによる予測) 単年度2,000億円、累計5,300億円

出典:野村ホールディングス「国内セキュリティ・トークン市場総括レポート(2025年度)」(BOOSTRY社の集計)

社債やプライベートエクイティのセキュリティ・トークンも登場し、地域金融機関が販売に加わるなど、担い手も広がっています。

(3) 海外:米国債ファンドのトークン化が進む

海外では、米国債やMMFのトークン化が先行しています。世界最大の資産運用会社ブラックロックは、2024年3月に現金・米国短期国債・レポで運用するトークン化ファンド「BUIDL」をイーサリアム上で開始しました(同社プレスリリース)。

トークン化された国債ファンドは、暗号資産取引の担保や、ステーブルコインの待機資金の運用先として使われ始めています。伝統的な金融商品とブロックチェーン上の取引をつなぐ役割を果たしているといえます。

(4) RWAのメリットと課題

メリット 課題
小口化により少額から不動産等に投資できる 二次流通市場がまだ小さく、売りたいときに売れないことがある
配当や権利移転の事務を自動化し、コストを下げられる 裏付け資産の管理や法的権利関係の確認が不可欠
将来はステーブルコインと組み合わせた即時決済が可能 国ごとに規制が異なり、国境を越えた流通には制約がある

根拠:金融商品取引法2条、2条の3、29条の2第1項第8号、金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令

3. ステーブルコインの動向

ステーブルコインは、日本円や米ドルなどの法定通貨と価値が連動するデジタルマネーです。価格が大きく動く暗号資産と異なり、決済や送金、RWAの受渡しの「お金」として使われます。
米ドルに価値が連動する代表的なステーブルコインには、テザー社のUSDTやサークル社のUSDC、リップル社のRLUSDがあります。いずれも、1トークンの価値を1米ドルに維持することを目指しています。

(1) 日本の制度と発行事例

本記事では、主として日本の資金決済法上の電子決済手段に該当する、法定通貨連動型ステーブルコインを扱います。一般にステーブルコインと呼ばれるもののうち、アルゴリズム型や暗号資産担保型などは電子決済手段に当たらず、価値の安定が保証されているわけではありません。日本では、2022年の資金決済法改正で、法定通貨と連動するステーブルコインが「電子決済手段」として位置付けられました。発行できるのは、銀行、資金移動業者、信託会社に限られます。

時期 出来事
2025年8月18日 JPYC株式会社が資金移動業者として登録
2025年10月27日 JPYC株式会社が国内初の円建てステーブルコイン「JPYC」を発行。預貯金と国債で発行残高の100%以上を保全(ASCII.jp)
2025年11月 金融庁が「決済高度化プロジェクト」を開始。三メガバンク等が共同発行するステーブルコインを、国際送金に使えるか検証(Impress Watch)
2026年6月1日 令和7年改正資金決済法が施行。信託型ステーブルコインの裏付け資産で一部国債等の運用を認め、「電子決済手段・暗号資産サービス仲介業」を新設(金融庁)

(2) 海外の動向

米国では、2025年7月18日にドル建てステーブルコインの連邦法である「GENIUS法」が成立しました(米国ホワイトハウス)。決済用ステーブルコインの発行、準備資産の保有、発行者の監督などの規制の枠組みを整備する法律です(ステーブルコインが法定通貨になったわけではありません)。

(3) 今後の活用場面

  • 企業間の国際送金:時差や複数の仲介機関を経由するため時間とコストがかかりやすい国際送金を、短時間・低コストで行えることが期待されます。
  • RWAの即時決済:トークン化した不動産や債券を、ステーブルコインで同時に受け渡しできます。
  • 少額決済・プログラム決済:契約条件が満たされたときに自動で支払う仕組みなどが導入しやすくなります。

根拠:資金決済に関する法律2条5項(電子決済手段)、同法62条の3(電子決済手段等取引業者の登録)

4. 暗号資産の制度整備と将来性

暗号資産は、「決済手段」から「投資対象」へと制度上の位置付けが変わりつつあります。国内の個人の口座開設数は1,400万を超えており、金融庁はこの状況を踏まえて規制を見直しました(金融庁資料)。

(1) 金融商品取引法への移管

2026年7月、「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律」が成立しました。暗号資産の規制は資金決済法から金融商品取引法に移り、暗号資産は有価証券とは別の金融商品として扱われます。

主な改正点 内容
情報開示 取引業者等による取扱い前の情報公表、重要事象が生じた場合の臨時情報、募集・売出しを行った発行者による年1回の定期情報の公表を義務付け
インサイダー取引規制 未公表の重要事実を知った関係者の売買を禁止。5年以下の拘禁刑等と課徴金の対象
無登録業者対策 金商法への移管に伴い、無登録営業への罰則を強化し、証券取引等監視委員会の犯則調査の対象に追加
投資運用・助言 暗号資産を対象とする運用・助言を投資運用業・投資助言業の規制対象に

出典:金融庁「法律案説明資料」、金融庁「令和8年金融商品取引法等改正(20日後施行)に係る政令の公布」

暗号資産関係の改正の多くは、公布の日から1年以内に施行されます。

(2) 税制の見直し(申告分離課税へ)

令和8年度税制改正で、一定の暗号資産取引の所得が、株式と同様の税率20%(所得税15%、住民税5%、別途復興特別所得税)の申告分離課税になることが決まりました。詳しくは6章で解説します。

暗号資産を投資対象とするETFも分離課税の対象とする方向で、国内で暗号資産ETFが登場する土台が整いつつあります(金融庁「令和8年度税制改正について」)。米国では2024年1月にビットコインの現物ETFが承認され、機関投資家の資金が流入しています(米国SEC)。

(3) 米国のクラリティ法案(CLARITY Act)

米国では、ステーブルコインのGENIUS法に続き、暗号資産市場全体のルールを定める「デジタル資産市場明確化法案(Digital Asset Market Clarity Act、H.R.3633)」が審議されています。ただし、2026年10月現在、未成立で、成立時期は不透明です。

時期 出来事
2025年7月17日 下院が賛成294、反対134の超党派で可決
2026年6月1日 上院銀行・住宅・都市問題委員会が修正案を報告(govinfo)
2026年9月15日 上院で審議入りのための討論終結動議が賛成49、反対50で否決(必要な60票に届かず)

出典:採決経過は米国下院の公式採決記録、govinfo、米国上院の公式記録(2026年9月15日)。争点や成立見通しの評価はOrrick「The CLARITY Act Stalls in the Senate」(2026年10月)

法案の主な内容は次のとおりです。

  • 監督当局の切分け:ビットコインなどの「デジタル・コモディティ」とその現物市場は商品先物取引委員会(CFTC)、デジタル証券は証券取引委員会(SEC)が担当します。
  • 業者規制:取引所や仲介業者の登録制を導入し、連邦で統一したルールを定めます。
  • 主な争点:利回り付きステーブルコインによる銀行預金の流出への懸念や、政府高官の暗号資産保有に関する倫理規定です。

法律の成立を待たず、SECとCFTCは、既存の法律に基づく行政解釈の公表や規則案の策定を進めています。2026年3月には、両当局が暗号資産を5つの区分(デジタル・コモディティ、デジタル・コレクティブル、デジタル・ツール、ステーブルコイン、デジタル証券)に分類する共同解釈を公表しました。ただし、暗号資産自体が証券に該当しない場合でも、投資契約の一部として販売される取引には、証券法が適用される場合があります(米国SEC)。

2026年8月18日には、SECが暗号資産に関する一定の投資契約について、証券の募集登録の免除や情報開示などを定める「Regulation Crypto Assets」の規則案を公表しました。これは市場全体の規制を完成させるものではなく、一定の投資契約に関する提案です。

米国は世界の暗号資産市場の中心であり、クラリティ法案の行方は、機関投資家の参入や各国の制度設計にも影響します。日本では、暗号資産取引の規制を資金決済法から金融商品取引法へ移管し、情報開示や不公正取引規制などを整備する改正法が成立しています。ただし、暗号資産関係の主要な規定は施行前であり、法律の成立と制度の運用開始は区別して考える必要があります。

【注意】クラリティ法案は2026年10月現在未成立です。上院での再審議や内容の修正により、今後大きく変わる可能性があります。

(4) 暗号資産の将来性をどう考えるか

制度が整うことで、暗号資産は「危険なもの」から「ルールの下で取引される投資対象」へと変わりつつあります。一方で、将来性は銘柄ごとに大きく異なります。RWAやステーブルコインの普及が、個々の暗号資産の価格上昇に直結するとは限らず、利用されるブロックチェーンやトークンの役割によって恩恵は異なります。

将来性を支える要因 注意すべき要因
金商法による情報開示・不公正取引規制の整備 価格変動が株式より大きく、価値の裏付けがない銘柄も多い
分離課税・ETFによる投資環境の改善 海外の規制や金利など、外部要因の影響を受けやすい
RWAやステーブルコインなど、ブロックチェーンの実用化 ハッキングや詐欺の被害が続いている

根拠:金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律(令和8年)、資金決済に関する法律2条14項

5. 金融業界はどう変わるか

Web3による変化は、銀行や証券会社がなくなるというよりも、既存の金融機関がブロックチェーンを取り込んで、決済や資産管理の仕組みを作り替える形で進んでいます。国内のセキュリティ・トークンもステーブルコインも、大手金融機関が中心になっています。

分野 現在の仕組み Web3で考えられる変化
決済・送金 銀行間ネットワーク、海外送金は数日かかることも ステーブルコインによる24時間・即時の送金
証券 証券保管振替機構などを通じ、受渡しに日数がかかる セキュリティ・トークンとステーブルコインを同時に受け渡す即時決済
不動産投資 大口の資金が必要で、流動性が低い 小口化したセキュリティ・トークンで少額から投資・売却
資産運用 投資信託の設定・解約に事務がかかる トークン化ファンド、暗号資産ETFなど商品の多様化
銀行 預金と貸出しが中心 ステーブルコイン発行や暗号資産の仲介など新しい業務

特に重要なのは、RWAとステーブルコインの組合せです。資産と資金の同時受渡しを実現する仕組み(DvP)や、譲渡制限・法的な権利移転の設計を整えることで、決済時間の短縮や元本リスクの低減が期待されます。同じブロックチェーン上にあるだけで自動的に同時決済できるわけではありません。

一方で、一般の利用者が大きな変化を実感するまでには、二次流通市場の拡大、国境を越えた制度の調整、本人確認やマネー・ローンダリング対策など、解決すべき課題も残っています。

参考:金融庁「事務局説明資料」(2026年10月20日)(セキュリティ・トークン、ステーブルコイン、オンチェーン決済の動向)

6. 暗号資産・トークンの税務上の取扱い

暗号資産の個人の利益は、現在は原則として雑所得(総合課税)ですが、改正金商法の施行日の属する年の翌年1月1日以後は、一定の取引が申告分離課税になります。取引の方法によって課税方法が分かれる点に注意が必要です。

(1) 個人:現行と改正後の比較

項目 現行 改正後(特定暗号資産)
所得区分 原則として雑所得 特定暗号資産に係る譲渡所得等(特定暗号資産の譲渡による事業所得・譲渡所得・雑所得を包括した呼称)
課税方法 総合課税(所得税と住民税で最大55%、復興特別所得税を除く) 申告分離課税(所得税15%、住民税5%)
損失の繰越し 不可 翌年以後3年間繰越控除可
他の所得との損益通算 不可(雑所得の損失) 不可
対象となる取引 すべての暗号資産取引 登録された国内の暗号資産取引業者への売却・売委託など
根拠 所得税法35条、48条の2、69条 租税特別措置法38条の2、38条の3

出典:国税庁「令和8年度税制改正のあらまし(株式等や土地・建物等を譲渡した場合)」

【注意】分離課税の対象は、金融商品取引業者登録簿に登録された一定の暗号資産(特定暗号資産)を、国内の暗号資産取引業者を通じて売却した場合に限られます。海外の取引所や個人間での売却などは、引き続き総合課税となります。また、申告分離課税の適用開始日(改正金商法の暗号資産関係規定の施行日の属する年の翌年1月1日)前の取引には、施行日の属する年の取引も含め、従来の取扱いが適用されます。たとえば施行日が令和9年中であれば、適用開始日は令和10年1月1日です。なお、令和8年8月12日に先行施行された無登録営業の罰則強化等は、この起算点とは関係ありません。分離課税の対象は特定暗号資産の譲渡による所得で、ステーキングやレンディングの報酬などが当然に20%になるわけではありません。

(2) その他の取扱い

区分 取扱い 根拠
暗号資産同士の交換 交換した時点で利益が確定し、課税対象 所得税法36条
取得価額の計算 総平均法又は移動平均法 所得税法48条の2、所得税法施行令119条の2
法人の期末評価 活発な市場がある暗号資産は期末に時価評価し、評価損益を計上(一定の継続保有分等を除く) 法人税法61条、法人税法施行令118条の7
相続・贈与 活発な市場がある暗号資産は、暗号資産交換業者が公表する課税時期の取引価格で評価 相続税法22条、財産評価基本通達5
ステーブルコイン(電子決済手段) 暗号資産には当たらず、円建てなら通常は差益が生じにくい 資金決済法2条5項
セキュリティ・トークン 暗号資産ではなく、裏付けとなる権利(社債、信託受益権等)の種類に応じて課税 所得税法、租税特別措置法の各規定

出典:国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」

【注意】暗号資産で商品を購入した場合も、その時点で売却したのと同じ扱いになり、利益があれば課税されます。取引履歴は年ごとに保存しておきましょう。

7. リスクと注意点

制度が整っても、暗号資産やトークンのリスクがなくなるわけではありません。投資や事業で利用する前に、次の点を確認しましょう。

  1. 価格変動:暗号資産は短期間で大きく値下がりすることがあります。生活資金を投じないことが大切です。
  2. 無登録業者・投資詐欺:「必ず儲かる」と勧誘する無登録業者による被害が続いています。取引前に金融庁の登録業者一覧で確認しましょう。
  3. ハッキング・秘密鍵の紛失:自分で管理するウォレットの秘密鍵を失うと、資産を取り戻せません。相続の際に家族が存在を把握できない問題もあります。
  4. 流動性:セキュリティ・トークンは二次流通市場がまだ小さく、希望する時期・価格で売却できないことがあります。
  5. 制度の移行期:改正金商法の施行や分離課税の適用開始は、政令等で詳細が定まる部分があります。売却の時期や取引の方法によって税負担が大きく変わるため、最新の制度を確認してください。
  6. 確定申告漏れ:現行制度では、暗号資産デリバティブ取引について「先物取引に関する支払調書」が税務署に提出されています(現物売買全般に同じ提出義務があるわけではありません)。また、令和8年度改正で「特定暗号資産取引に関する年間取引報告書」の提出制度が創設されましたが、適用開始前です。対象は改正金商法の主要規定の施行日の属する年の翌々年1月1日以後の取引で、分離課税の適用開始より1年遅れます(令和8年改正法附則39条2項)。また、暗号資産の国際的な情報交換の枠組み(CARF)により、2026年分の対象取引から、2027年以降に参加国・地域の間で取引情報の報告・交換が始まります。対象国・地域や業者などの条件があり、海外取引がすべて自動的に報告されるわけではありませんが、申告漏れは把握されやすくなっています。

【注意】暗号資産の利益は、日本円に換金していなくても、他の暗号資産との交換や商品の購入に使った時点で課税の対象になります。申告漏れには、過少申告加算税や延滞税が課されます。

根拠:租税特別措置法の一部改正(非居住者に係る暗号資産等取引情報の自動的交換のための報告制度)、国税庁「非居住者に係る暗号資産等取引情報の自動的交換のための報告制度(FAQ)」、国税通則法65条、同法60条

まとめ

  • Web3・ブロックチェーンは、価値や権利をトークンとして発行・移転できる技術で、金融の決済や資産管理の仕組みに取り込まれ始めています。
  • RWAは国内では不動産を中心に拡大し、公募セキュリティ・トークンの発行額は累計3,333億円(2025年度末)に達しています。海外では米国債ファンドのトークン化が進んでいます。
  • 2025年10月に円建てステーブルコインの発行が始まり、三メガバンクも国際送金での活用を検証しています。RWAと組み合わせた即時決済が、金融を変える鍵になります。
  • 2026年7月に暗号資産を金融商品取引法の対象とする改正法が成立し、情報開示やインサイダー取引規制が導入されます。米国のクラリティ法案は上院で停滞しており、動向に注意が必要です。
  • 税制では、改正金商法の施行日の属する年の翌年から、国内の登録業者を通じた特定暗号資産の取引が税率20%の申告分離課税(3年間の繰越控除あり)になります。それ以外の取引は総合課税のままです。
  • 暗号資産の将来性は銘柄ごとに異なり、価格変動や詐欺のリスクも残ります。投資と申告は、最新の制度を確認したうえで行いましょう。

当事務所では、暗号資産の取引に係る確定申告、法人の期末評価、相続時の評価などのご相談をお受けしております。お気軽にご相談ください。

※本記事は、令和8年10月現在の法令等に基づいて作成しています。個別の事案の取扱いについては、当事務所にご相談ください。

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