東京都による不可解な個人事業税の課税処分
つい先日、東京都より個人事業税の課税処分の通知書が届きました。
私は、今年の7月末日までは外資系生命保険会社に勤務しており、青山で税理士事務所を開業したのは今年の9月1日です。
東京都からの通知書の内容は、平成30年の事業所得(全額生命保険外交員としての事業所得)に対して個人事業税を支払えというものでした。
18年間、保険業界に在籍していましたが、初めての通知です。
保険代理店は、代理業として、事業税において第一種事業の37業種に該当し、5%の税率がかかることになっています。
しかし、そもそも生命保険の外交員は保険代理店ではなく、昭和27年12月27日付の自治庁の府県税課長の大阪府宛の回答と、昭和29年8月14日付の同課長による福井県宛の回答を根拠に、個人事業税が非課税とされてきました。
つまり、代理業で個人事業税が課税される人というのは、個人で独立して保険代理店をしている事業主の方が前提だと思われます。
なぜなら、東京都のホームページをみても、「都内に事務所や事業所を設けて、法定業種の事業を行っている個人の方」となっているからです。
自分の場合、昨年は一社専属の外資系生命保険会社の正社員であり、その会社に毎日出社し、平成30年において都内に事務所や事業所を設けた事実はありません。
つまり、平成30年については確定申告書上、支払家賃を計上していないですし、自宅の減価償却費も水道光熱費も一切必要経費として計上していない状況です。
このことから考えて、今回の東京都による個人事業税の課税処分は、個人的見解として東京都による権利の濫用だと思っています。
一方、東京都は私が勤務していた外資系生命保険会社に対して法人事業税を課しているはずであり、私が勤務していた生命保険会社の勤務地を事務所や事業所とみなして課税するというのであれば、二重課税の問題も生じるのではないかと思っています。
東京都による生命保険外交員に対する個人事業税の課税の問題は、2年位前から話題になっていましたので、知ってはいましたが、昨年まで都内に事務所と認定されるものがなかった自分にとっては、無縁のものだと思っていましたので、正直かなり驚いています。
ちなみに東京都以外の道府県では、今のところ生命保険外交員に対して個人事業税を課したという話は聞いたことがなく、東京都だけがこのような不可解な課税処分を行なっているようです。
私がもし昨年個人事業税の課税対象者というのであれば、東京都は日本生命等のセールスレディや、かんぽ生命の保険営業マンにも個人事業税を課税できることになります。
取れるところから取ってやろうという東京都のスタンスに強い憤りを感じています。
追記(実質勝訴で終結)
令和元年12月6日に東京都に対し審査請求を行いましたが、審理員による審査手続き等を経た後、令和3年1月15日に東京都から審査請求を棄却されました。
その後、令和3年7月14日に東京地方裁判所において、東京都を被告として東京都に対して個人事業税課税処分取消請求の訴えを提起しました。
初公判は令和3年9月14日に行われましたが、東京都が公判前の答弁書で私の個人事業税の課税を取り消すとの処分を下したことから、実質勝訴で裁判は終結しました。